品質と価格を両立させた
デイリーワイン。
手がける製造工程の向こうに、
世界が見える。

メルシャン株式会社
藤沢工場 製造部 製造課

中村 亮太

Ryota Nakamura
2015年入社 基礎工学部卒

Profile

お酒の持つ「楽しい場をつくる力」に親しんでいた経験から、キリンへの入社を選択。研修を経て、2015年8月より藤沢工場に本配属。シャトーメルシャンの仕込みに関わる。現在は製造事務として、生産系システム管理を始め、多岐にわたる業務を手がける。

※所属・仕事内容は取材当時

ワインを、もっと親しみやすいお酒へ。
デイリーワインの進化を、
製造工程の進化で支える。

 私が所属する藤沢工場では、主にデイリーワインの製造を手がけています。デイリーワインとは、ふだんから気軽に楽しんでいただける価格帯のワイン。だからといって、品質に一切の妥協はありません。香りや味わいを絶えずレベルアップさせながら、手の届きやすい価格を維持するための効率化も同時に行う。そんなワイン造りを、製造工程を進化させつづけることで支えているのです。新設備の大がかりな導入からムリ・ムダ・ムラをなくすための改善まで、仕事は多岐にわたります。一人が手がける範囲も広く、ときどき、自分が何者なのかわからなくなるほどです。けれど、そのすべてに共通して必要なのが「課題を抽出する力」。問題が起こった時に、いくつ仮説を描けるか。それをどのように絞り込み、解決策を導くか。まだまだ力不足を痛感することの多い私ですが、経験豊富な先輩たちの発想を間近で見つめながら、自分自身のスキルアップにつなげようと努力を重ねているところです。

設備変更プロジェクトへの参加。
海外ワイナリーの査察。
若いうちから重ねた経験が、
未来への大きな収穫になる。

 ワイン製造は、とても奥が深い世界。入社3年目の私は、まだまだ勉強中の身です。けれど、自分を大きく成長させる機会に何度となく恵まれてきました。たとえば入社1年目の冬。私は、輸入ワインの受け入れ設備変更というプロジェクトに参加しました。海外から運び込まれたワインはタンクに貯蔵されるのですが、それまでは受け入れ設備とタンクが離れており、長い距離をパイプで運搬していました。その距離を縮めるとともに、ポンプの強化によって稼働を向上させるという計画です。ところが、設備に不具合が見つかりました。悔しいことに私は何も手を打てなかったのですが、先輩が鮮やかにそれを解決してみせ、私にとっては生きた勉強になりました。すぐには戦力にならなくても、若手を大きなプロジェクトに積極的に参加させ、成長を促す。そのような会社の姿勢を垣間見たように思います。また最近は、スペインにあるワイナリーへの出張に同行することができました。ワインは、原料も製品も多くを輸入に頼っています。そのため、サプライヤーであるワイナリーにさまざまな改善を依頼し、それが適切に実行されているかの監査を行うのです。一週間で3つのワイナリーを巡りましたが、そこで行われる活発な意見交換は大きな刺激になりました。立場や国籍は違っても「いいワインをつくりたい」という想いはひとつ。だからこそ、コミュニケーションは率直で熱のこもったものになるのです。私はいま、ソムリエの資格を取るための勉強に励んでいます。設備を相手にする仕事ですが、ワインそのものにもきちんと愛情を注ぎたいという想いからです。すべての仕事は、いいワインをお客様にお届けするためにある。そんな原点を忘れずに、国境を超えたワインづくりの一員として、腕を磨きつづけたいと思います。

学生生活
振り返って

講師のアルバイトを掛け持ちした
学生時代。
校舎リーダーになって知った、
チームの力。

 「教師になるのもいいかな」と考えていた私。まるで予行演習のように、塾や予備校のアルバイトを掛け持ちしていました。中でも、小中高生向けの個別指導を行っていた塾では、校舎リーダーとして抜擢。講師がチームを組むことで教育環境をもっと有意義にできるのではないかと考え、実際に新部門を立ち上げて、指導方法の企画や実行に取り組める体制をつくりました。結果として教師の道には進まなかった私ですが、あの時に学んだ「チームで同じベクトルを向くことの大切さ」「だからこそ発揮できる力の大きさ」は、いまの仕事にも通じるものがあると感じています。