飲みもので、健やかな
暮らしをつくる。
キリンだからできる
研究に、
情熱のすべてを。

キリンホールディングス株式会社
R&D本部 キリン中央研究所

山崎 雄大

Takahiro Yamazaki
2015年入社 薬学系研究科修了

Profile

大学では健康機能に関する研究に没頭。広く世の中の健康に役立ちたいと考えてキリンを志望。入社直後の2015年8月より、R&D本部 健康技術研究所(現:キリン中央研究所)に配属され、キリンの独自機能性素材である「熟成ホップエキス」の研究開発に一貫して従事する。

※所属・仕事内容は取材当時

大学に匹敵するハイレベルの環境と、
研究成果が世の中に広がる喜び。
キリンには、その両方がある。

 「健康」は、キリンの一大テーマです。日々の暮らしのそばにある飲みものに「健康」をプラスすることで、お客様の健やかな生活を支えたい。そんな強い想いのもと、これまでにない健康素材や技術の開発を行っているのが、私が所属するキリン中央研究所。私自身は2015年の入社直後から、体脂肪を減らす効果が認められたキリン独自の機能性素材「熟成ホップエキス」に携わっています。キリンに入社してまず驚かされたのが、研究開発にかけるその熱意。大学に匹敵するハイレベルな研究環境に加え、得られた成果をお客様に届けるために一人ひとりが「絶対にやりとげる」という覚悟を持って、全力を注ぐ。学生時代にはなかった「お客様への価値提供」を常に意識しながら研究することに難しさを感じましたが、その成果が商品として広く世の中に行き渡っていくのですから、研究者冥利に尽きる環境だと言えるのではないでしょうか。

世界の醸造研究者を驚かせた、
ヨーロッパでの学会発表。
そんな成果を、
一から自分の手で生み出したい。

 「熟成ホップエキス」に関わる私のミッションは、大きく3つあります。ひとつは、生産現場と協働しながら、商品化に向けた製造手法を確立すること。もうひとつは、まだ発見されていない機能を探求すること。さらには、学会発表や記事化といった広報活動。「研究者なのに広報まで?」。私も最初は戸惑いました。けれどキリンの研究者にとって大切なのは、自分の出した研究成果を世の中のお客様に届ける姿勢。そこまでやるからこそ、研究室だけでは得ることのできない手応えを感じられるのです。それにしても、広報活動の一環としてヨーロッパ醸造学会での発表を任された時には緊張しました。そもそも「熟成ホップエキス」は、8年間にわたる研究の賜物。それを入社3年目の私が発表するのですから大ごとです。過去のチームメンバーや社内外の専門家にもヒアリングをかけて情報をたくわえ、必要な追加実験を行いプレゼンのストーリーを練り上げていきました。そして学会当日。1000人以上が入る会場に、ずらりと並んだ全世界の醸造研究者たち。準備に準備を重ねた30分間の発表は、大喝采で迎えられました。醸造学会では、健康にまつわる発表そのものがレアケース。そんな背景も手伝って、キリンという会社の存在感をいっそう強く刻めたとともに、専門外の研究者と議論を交わすことで新たな知見を得て、さらなる研究の推進につなげられたと思います。個人的には、発表がうまくいったことにホッとしながらも、ほんの少し悔しい想いもありました。「熟成ホップエキス」のプロジェクトにおいて、私は言わば途中参加。次はぜひ「熟成ホップエキス」に匹敵するような研究を一から立ち上げ、世界中に影響を与えるような成果を生み出したい。キリンの研究者だからこそ味わえるやりがいを目指して、幅広い経験を積んでいきたいと考えています。

学生生活
振り返って

前例のない研究に大苦戦。
2年間にも及んだ準備期間が、
粘り強さを育ててくれた。

 大学で打ち込んだのは「ショウジョウバエを用いた組織恒常性維持機構の研究」。栄養状態に応じた腸の細胞入れ替えのメカニズムを解き明かすことで、病気の治療に役立つような成果を目指していました。ところが、前例の少ない研究だけに立ち上げから難航。評価系の確立だけで2年もかかってしまったのです。成果がなかなか見えない状況に焦りもしましたが、その分、粘り強く取り組むことの大切さを学ぶことができました。同じく大学時代には、英語でのプレゼンテーションも経験。鋭い質問を浴びせられたことで、スキルも自然と鍛えられたと思います。ヨーロッパ醸造学会での発表を、いざその場に立つと思いのほか楽しめたのも、学生時代に培ったプレゼンテーションスキルのおかげかもしれません。