商品がお客様のもとへ
届く。
そんな当たり前を、
需給担当という
「司令塔」が
支えている。
キリンビバレッジ株式会社
生産本部 生産部 需給担当
千速 夕季
Yuki Chihaya
2012年入社 生命医科学部卒
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日常生活の中で手に取る飲みものを通じて、人々の健康を支え、生活をより楽しく豊かにしたいという動機からキリンを志望。入社後、横浜支社に量販店の個店営業担当として赴任。横須賀・三浦半島エリアと横浜エリアでそれぞれ半年間、店舗の販売促進活動に携わる。2013年より現職。
※所属・仕事内容は取材当時
判断ひとつで、数億円の
利益につながる。
プレッシャーの大きさが、
達成感の大きさに。
商品を、絶対に不足させない。そして、なるべく余らせない。そのための管理を行うのが私、需給担当のミッションです。季節や天候などの自然要素。営業現場からの受注データ。それに販売促進キャンペーンの有無。さまざまな条件をにらみながら需要を予測し、工場での製造や各地への物流といった供給体制を整えていくのです。配属された当時は「需給ってなに?」状態の私でしたが、知れば知るほど重要な役目だということが分かってきました。商品が不足すれば売上を直撃し、余ってしまえば保管コストがかかる上に廃棄されることもある。また工場の選択ひとつとっても「立地」「工賃」「物流体制」「生産能力」など、考えるべき要素が満載。その結果、1ケースあたりで抑えられたコストが10円だったとしても、月に数十万ケースもの生産量を考えれば絶大なインパクト。「毎週、ひとり4億円の原価コスト管理を任されている仕事」。上司は需給担当をそう表現していますが、まさにその通りのプレッシャーとやりがいをひしひしと感じる毎日です。
予測の170%という受注が
殺到した
「生茶」のリニューアル。
信頼関係と交渉力で、
商品不足の危機を
乗り越える。
数ある商品の中でも、私が担当するのは小型PET製品。2016年に手がけたのが、リニューアルされた「生茶」の需給管理です。営業からのさまざまなデータからはじき出された販売想定数は月に60万ケースほど。ところがフタを開けてみると、100万ケースを超える受注が殺到。一般的には、実数が予測の120%を上回ってしまうと「欠品危機」の危険水域ですが、この時は約170%というありえない差になってしまったのです。でも、あきらめるわけにはいきません。需給担当になる前は営業だった私。商談を重ねてつかんだ受注なのに、肝心の商品がないという悔しさをよく知っています。関係各所に電話をかけ、スピード感をもって調整を進めました。「生茶」を製造する予定がなかった工場にも頼み込んだり、その分、あふれてしまった他の商品を、別工場に回す手配をしたり。さらに調達部には原料の確保を依頼し、社外のサプライヤーにもラベルなどの資材増産をお願いしました。奥の手とも言える作戦を、いくつも並行して走らせながらの綱渡り。カギを握るのは、普段から積み重ねた信頼関係とコミュニケーションの力です。実際に商品をつくるのは、私ではなく工場。運ぶのは、物流担当。そのすべてに快く協力してもらう交渉こそが、私の腕の見せ所なのです。一方的にこちらの要求を押しつけるのではなく、お互いにとってのベストを探りながらすばやい決断を重ね、社内外の協力によって商品を切らすことなくお客様のもとに届けることができました。サプライチェーンのコントロールタワーとしての使命を果たせた達成感。それを噛みしめるとともに、関係する各部署の役割をもっともっと理解することで、需給担当としての存在感をさらに大きなものにしたい。そんな気持ちを新たにすることができました。
学生生活を
振り返って
勝つことよりも、負けないこと。
戦略の大切さを、結果で証明した
陸上ホッケー部時代。
大学では、陸上ホッケー部というちょっとマイナーな部活に所属していました。マイナーだからこそ、初心者の私でも入り込みやすそうだと思ったのがきっかけです。狙い通りというべきか、私はやがて副キャプテンになり、全国大会でベスト8に食い込むという結果を残すことができました。そこで学んだのが、「勝つため」ではなく「負けないため」に分析と戦略立案を行う大切さです。チームの力量を冷静に判断する一方で、対戦相手をとことん研究し、攻められた時の穴を埋めるようにして戦略を立てる。需給担当も、商品が届いて「勝ち」ではなく「当然」ですから、課題に対する向き合い方は、ちょっと似ているのかもしれません。